第76回北海道理学療法士学術大会に参加しました|SHAREから3名が口述発表
2025年12月、帯広で開催された「第76回北海道理学療法士学術大会」に参加しました。
本学会では、株式会社SHAREから3名が口述発表を行い、指定運動療法施設(メディカルフィットネス北6条)における実践の成果と、地域連携の課題・今後の展望を報告しました。
また渡邊は、北海道理学療法士会(職能局)の自主企画セミナーにて座長を務め、参加者の皆さまと「実践知を横展開するための視点」について議論を深める機会となりました。
学会概要

学会名:第76回北海道理学療法士学術大会
開催日:2025年12月13日(土)〜14日(日)
会 場:とかちプラザ(帯広)
テーマ:「一体性」
SHAREから3名が口述発表|指定運動療法施設×地域連携の実践を報告(差し替え用)
今回の学会では、SHARE(メディカルフィットネス北6条)から口述3演題(o-47〜o-49)を発表しました。
共通テーマは、指定運動療法施設を「制度として存在する」だけでなく、地域の中で“機能する仕組み”としてどう育てるか。取得率の改善、会員実態の把握、地域サービス連携という3つの角度から、成果と課題を整理しました。

発表①(演者-渡邊)|処方箋取得率向上の実践:26.7%→53.9%へ(地域医療連携モデル)
指定運動療法施設は全国262施設と限られ、国民認知率も21.7%と高くありません。医療費控除の要件の一つである運動療法処方箋についても、取得率の報告は乏しく、平均は低水準とされています。
本演題では、当施設の2023年度と2024年度の取得率を比較し、向上要因を解析しました。
対象:新規入会189名のうち「疾患あり」149名(後ろ向き解析)
取得率:2023年度 26.7%(16/60)→ 2024年度 53.9%(48/89)
施策:①医師・他職種連携研修会、②地域住民向け教室/啓発、③セミナー、④処方箋持参時の情報提供強化
結果として、医療機関・施設・入会者の制度理解が深まり、手続きの双方向化・簡素化が進んだことが取得率向上に寄与した可能性が示されました。一方で未取得者は残るため、さらなる効率化が課題です。地域医療連携を基盤とした本モデルは、他地域にも応用可能な枠組みとして示唆されました。
発表②(演者-斉藤)|会員202名の実態調査:疾患保有78.2%、処方箋取得50.6%(施設の役割整理)
本演題では、指定運動療法施設に通う会員の実態を把握し、施設の役割と課題を検討しました。
対象は、令和5年1月〜令和7年3月に入会した202名。入会時問診データを用いて、記述統計で整理しています。
男女比:男性14.4%/女性85.6%
平均年齢:58.8歳
疾患あり:78.2%(158名)
疾患内訳:運動器59.5%、内科49.4%、脳血管・神経難病など15.3%
疾患ありの処方箋取得率:50.6%(80名)
結果から、利用者は一般的なフィットネスとは異なり、疾患を有する割合が高く、運動療法に一定のリスクが伴うケースが多いことが明確になりました。よって安全な運動療法には医療連携が不可欠であり、未受診者への受診勧奨など、指定運動療法施設がゲートキーパーとして疾病の早期発見・対応につなげる機能も担うべきだと整理しました。今後は連携体制の強化に加え、成功事例の発信を通じた社会的認知の向上が課題です。
発表③(演者-竹田)|デイケア併用症例:週1回×80分の個別運動で疼痛・ADLが改善(地域包括ケアへの可能性)
本演題は、デイケアと指定運動療法施設を併用し、身体機能とADLに改善を認めた症例報告です。
指定運動療法施設は、医師の運動療法処方箋に基づく運動指導を行い、医療費控除の対象となり得る利点がある一方、社会的認知と連携体制が課題とされています。
症例:65歳女性(右片麻痺、左変形性膝関節症、高血圧、脂質異常症など)
背景:左膝痛増悪でADL低下、本人希望で併用開始
介入:週1回80分、筋力強化・柔軟性・バランス中心の個別プログラム(2025年2月〜5月)
結果:疼痛軽減、ROM改善、ADL向上など生活機能の改善を確認
考察として、症状が進行する前に、デイケアに加えて指定運動療法施設で個別・集中型の運動介入を行えたことが、悪化予防と生活機能の改善につながった可能性が示されました。標準算定日数超過後の支援や、介護保険サービスのみでは運動機会が不足する対象者に対して、指定運動療法施設が地域包括ケアの一端を担う選択肢になり得ます。一方で、本症例は本人希望が起点であり、早期からデイケア側と情報共有できていれば、目的分担の明確化やより効率的な支援につながった可能性があります。今後は具体的な連携事例の蓄積と発信が重要です。
職能局の自主企画セミナーで座長を担当
本学会では、北海道理学療法士会(職能局)による自主企画セミナーも開催されました。
渡邊は座長として、単発の事例報告で終わらせず、他地域・他領域へ“横展開”できる形にするという視点で議論を進行しました。
学会の価値は「発表した」「聞いた」で終わらず、
現場に戻って再現できる形に落とし込めるかにあります。
今回の学びを、次の実装につなげていきます。
SHAREとしての次のアクション
処方箋取得の導線を標準化:医療機関⇄施設⇄利用者の情報提供を整理し、“誰がやっても同品質”へ
地域連携の設計:医療・介護・行政との情報共有ルートを定期化し、役割を明確に
成果の見える化:アウトカムや症例の整理・発信を継続し、指定運動療法施設の認知と信頼を積み上げる
おわりに
学会は、現場の実践を外に開き、他者の知恵を持ち帰り、地域に再実装するための大切な機会です。
SHAREはこれからも、指定運動療法施設を軸に、医療と運動の橋渡しを“続く形”にするための取り組みを進めていきます。
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よくある質問(FAQ)
Q. 指定運動療法施設とは?
A. 医師の指示に基づく運動療法を行い、一定条件を満たすと施設利用料が医療費控除の対象となり得る制度に位置づく施設です。
Q. 医療機関や地域サービスと連携相談できますか?
A. 可能です。対象者像・情報共有方法・導線設計を含め、連携の仕組みづくりをご相談いただけます。
総合病院での臨床経験を経て、株式会社SHAREに入社し、医療・健康・介護福祉の共創に励んでいます。 私たちが地域の皆様のお役にどう立てるか? 自治体・医療機関・地域にお住まいの皆様のお力をお借りし、これからも様々なことに挑戦してまいります。
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