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会社を知る 2026.02.03

札幌医科大学スタートアップセミナー登壇レポート|研究成果を「届く価値」に変える虫・鳥・魚の目

  • # レポート
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札幌医科大学スタートアップセミナー登壇レポート|研究成果を「届く価値」に変える虫・鳥・魚の目
INDEX目次

研究成果を「届く価値」に変える。経営者視点で語ったヘルスケア事業の展望

――札幌医科大学スタートアップセミナー 登壇レポート(株式会社SHARE)――

サマリー

  • 研究成果を社会実装するには「正しさ」だけでなく、届く形へ翻訳し、継続できる構造にする視点が必要

  • 今回は医療バックグラウンド登壇が中心だった流れの中で、純粋なビジネス/経営者の視点での初登壇

  • キーフレームは「虫の目・鳥の目・魚の目」:現場・構造・潮流を行き来して価値を設計する

  • SHAREはエビデンス×コーチングをチームで両立し、教育投資とマネジメントを中核に据える

  • 目指すのは、健康なうちからコーチが伴走できる社会。保険に依存しすぎず、実費でも成立するモデルを実装する

  • 研究者が思考のリミットを外す鍵は「全部自分でやる」ではなく、適切な人と組んで価値を届けるチーム設計

はじめに:なぜ“経営者視点の登壇”が必要だったのか

今回、札幌医科大学で定期的に開催されているスタートアップセミナーに「初めて」医療をバックグラウンドに持たない講師としてSHARE代表取締役の佐伯輝明が登壇致しました。

研究成果を社会に届けることは、研究者にとっても大学にとっても、そして地域にとっても大きな挑戦です。
一方で、社会実装のフェーズでは「正しいものを作る」だけでは前に進めない壁が現れます。

  • 価値はあるのに、届かない

  • 届いても、続かない

  • 続けるほど、現場が疲弊する

今回の札幌医科大学スタートアップセミナーは、これまで医療をバックグラウンドに持つ方の登壇が中心だった中で、純粋なビジネス/経営者の視点から“届け切るための設計”を語る初めての機会として開催されました。

本コラムでは、株式会社SHARE 代表・佐伯の講演をもとに、研究成果を「ビジネス的成果」へつなげるための考え方と、SHAREが目指すヘルスケア事業の展望を整理してお伝えします。

セミナー概要

  • 主催:札幌医科大学 附属研究連携推進機構

  • テーマ:研究成果をビジネス的成果に繋げる為の「虫の目・鳥の目・魚の目」

  • 開催:2026年1月26日(月)17:30〜19:00

  • 会場:札幌医科大学 教育研究棟 C202

  • 対象:起業・創薬を目指す研究者/学生(定員50名)

「虫の目・鳥の目・魚の目」――社会実装のための“見方”

講演の中心となったフレームが、虫の目・鳥の目・魚の目です。
ポイントは「どれか一つ」ではなく、行き来することにあります。

虫の目(現場・詳細視点)

  • 目の前の対象を細部まで注意深く多角的に観察する視点

鳥の目(全体・俯瞰視点)

  • 市場(需要と供給)多部署との連携の中での自分と全体像を把握する視点

魚の目(トレンド・変化視点)

  • トレンドの変化、技術の進歩、その影響力を予測し、タイミングを見極める視点

研究成果は、現場(虫)だけでも、構造(鳥)だけでも、潮流(魚)だけでも、社会実装に至りません。
価値を損なわず、届く形に翻訳し、継続できる構造に落とし込む――この視点が、社会実装の入口になります。

SHAREのミッション:全ての人が、かっこよく歳を重ねられることを証明する

佐伯が繰り返し語ったのは、戦略より先にミッション・ビジョンがある、という順序です。

SHAREのミッション
全ての人が、かっこよく歳を重ねられることを証明する。

ミッション・ビジョンがあるから、営業戦略や商品戦略が意味を持つ。
そして、心からやりたいこと(欲求)こそがミッション・ビジョンであり、そこから事業は立ち上がっていく。
“理念はスローガンではなく、人の行動を揃える装置”――この考え方が講演全体を貫いていました。

教育投資:ヘルスケアの価値は「人が人に提供する」

ヘルスケアのサービスは、最終的に人が人に提供します。
だからこそ、SHAREは教育投資をビジョンの中心に据えています。

SHAREの組織は、メディカル(ロジカル)の視点を持つ社員と、フィットネス(コーチング)の視点を持つ社員が共存しています。
目指しているのは、エビデンスとコーチングの両立。
ただし、これは簡単ではありません。だからこそ、個人任せにせず、チームで両立する設計を行い、教育を重ねる――それがSHAREのスタンスです。

マネジメント戦略:最重要は「人」のための技術

働き手が減り、働き方も価値観も変わる時代。
「事業を伸ばす」ことと「働く人が満足する」ことを、どう両立させるか。さらに、障害のある方であっても同様に、どう働ける環境をつくるのか。
佐伯は、ここを“最重要の戦略”として語りました。

そして前提として、強いメッセージがありました。

  • まずは社員が自立できる所得を

  • やりがいの搾取ではなく、所得がある。その上で社会に貢献できる状態へ

マネジメントは、理念を実現するために「人」を守り育てる技術。
だからこそ、経営の中心に置く――という整理です。

世界が向き合う医療・介護の課題と、SHAREの問題意識

日本は少子高齢化の先進国であり、医療・介護保険制度の持続性は世界各国の課題でもあります。
SHAREは国際的にも評価され、Asia Pacific Eldercare Innovation Awards 2025での受賞にもつながりました。


Asia-Pacific Elder Care Innovation Awards 受賞|SHARE(コーポレート)

SHAREのビジョン「北海道から世界へWell-BeingをSHAREする」というビジョン実現に向けた、大きな前進がありました。ASEAN諸国やオーストラリア・ニュージーランド等、環太平洋諸国の国々を主な対象に、「アクティブ・エイジング」「...

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講演では、世界各国が“制度・保険外”で課題解決を進めようとしている流れにも触れられました。
その上で提示されたのが、次の論点です。

  • 医療格差 ≒ 経済格差

  • 本当は「すべてのお父さん・お母さんに、メディカル的にちゃんとしたコーチがついて生活改善できる社会」をつくりたい

  • ただし、それを“保険”で広くやろうとすると財政は持たない

  • だからこそ、実費でも成立し、継続できる支援モデルをつくる必要がある

要支援になってからケアマネジャーがつく構造だけでなく、健康なうちから伴走できれば、人生は変わり得る。
その“前倒しの支援”を、制度に依存しすぎずに実装していく――これがSHAREの目指す方向性として語られました。

継続率を高め、広告費を下げる鍵は「信頼で選ばれる構造」

継続率の向上、売上の向上、そして広告費を下げる。
この両立のために、SHAREが重視しているのが自治体・地域との連携です。

講演では、たとえば以下のような取り組みが挙げられました。

  • 自治体の予防事業の受託

  • 札幌市のウェルネス施策との連携や啓発イベント

  • 地域から求められる取り組み(例:リハ旅など)

広告を工夫するのではなく、自治体の課題を解決できる企業になる。
その積み重ねが、結果として「信頼で選ばれる」状態をつくり、広告依存を減らしていく――という考え方です。

Q&A:研究者の「思考のリミット」を外すには?

質疑応答では、「研究者は固定観念により思考が止まりがち。どうリミットを外せばいいか?」という問いが出ました。

佐伯の回答は、“一人で突破する”よりも組み方を変えるという発想です。

  • 自分は医療職ではない

  • 医療の社員と組む(=思考の人と組む)

  • 価値があることは、価値として提案していくべき

  • 餅は餅屋。畑違いの分野の人と力を合わせるのがよい

社会実装に必要なのは万能性ではなく、価値を損なわずに社会へ届けるためのチーム設計。
この示唆は、研究者が次の一歩を踏み出すうえで大きなヒントになります。

まとめ:理念は、事業を「続ける力」になる

研究成果を社会実装へつなげる道のりは、正しいものを作るだけでは前に進めない局面があります。
現場を見て(虫の目)、構造を捉え(鳥の目)、潮流を読む(魚の目)。そして、届く形に翻訳し、継続できる仕組みにする。

SHAREはこれからも、エビデンス×コーチングをチームで両立し、教育投資とマネジメントを軸に、大学・企業・地域と連携しながら、健康なうちから支え合える社会の実装に挑戦していきます。

最後に、今回のような機会を創って頂いた片寄先生はじめ札幌医科大学の関係者皆様には心より御礼を申し上げます。今後も研究成果を社会実装へ繋げる為に、民間企業としてお役に立てることがあれば前向きに挑戦して参る所存です。

左端:札幌医科大学 名誉教授 石埜 正穂氏

左から二番目:札幌医科大学 理事/副学長/保健医療学部長・専攻科長 片寄正樹氏

真ん中:株式会社SHARE 代表取締役 佐伯輝明

右から二番目:小樽商科大学 商学研究科アントレプレナーシップ専攻 教授 藤原健祐氏

右端:札幌医科大学 附属研究連携推進機構 客員講師 角谷尚哉氏

FAQ

Q.「虫の目・鳥の目・魚の目」とは?
A. 現場(虫)・構造(鳥)・潮流(魚)を行き来しながら、価値を“届く形”に翻訳していく見方です。

Q. 研究成果をビジネスにつなげる第一歩は?
A. 「誰のどんな困りごとを、どんな成果として解決するか」を1文で言える状態にし、現場検証(小さな実験)を始めることです。

Q. なぜ“保険外(実費)でも成立するモデル”が必要?
A. 予防や伴走支援を広く保険で担うと財政負担が増え続けるため、継続可能性の観点から保険外の選択肢も設計する必要があります。

Q. SHAREが重視する人材(チーム)とは?
A. エビデンス(ロジカル)とコーチングの両方を尊重し、学び続けながらチームで成果を出せる人材・組織です。

記事を書いた人
地域共創部 部長/理学療法士 渡邊匠さん

総合病院での臨床経験を経て、株式会社SHAREに入社し、医療・健康・介護福祉の共創に励んでいます。 私たちが地域の皆様のお役にどう立てるか? 自治体・医療機関・地域にお住まいの皆様のお力をお借りし、これからも様々なことに挑戦してまいります。

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