共生型サービスで大切な「その人らしい生活」|茂木有希子先生とのSHARE全体研修
2026年8月17日、株式会社SHAREでは、株式会社ハート&アート代表取締役の茂木有希子先生を講師にお招きし、全体研修を実施しました。
今回のテーマは、
「スマートな仕組みと“泥臭い支援”を考える」
です。
研修には、共生型デイサービス「スマリハ」、自立訓練施設「チャレンジドジム」、そして利用者様のご自宅を訪問する往診チーム(鍼灸師・柔道整復師)のスタッフが参加しました。
介護保険、障がい福祉、訪問サービス。
それぞれ異なる制度や役割の中で働くスタッフが、部門を越えて「私たちは何のために支援するのか」を考える時間となりました。

茂木先生は、埼玉県さいたま市で、子どもから高齢者までが同じ場所に集う「共生・多機能型デイサービス ダイアリー」を運営されています。
SHAREでは、2025年にも茂木先生をお招きし、共生型サービスや地域リハビリテーションについて学びました。
▶︎ 前回の研修の様子はこちら
【スマリハ事業部】地域と共に歩むリハビリテーション ―介護と障がい福祉の共生を学ぶ研修から―|SHARE(コーポレート)
2025年9月30日スマリハ事業部では全スタッフを対象とした研修を実施しました。今回のテーマは 「障がい福祉サービスの在り方」。日々の支援を改めて見つめ直し、これからの取り組みを考える大切な時間となりました。研修の目的とゴール研修...
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今回はその学びをさらに一歩進め、スマリハだけでなく、チャレンジドジム、鍼灸師チームまで対象を広げました。
「正しい支援方法」を覚えるための研修ではない
研修の冒頭、茂木先生から示されたのは、次のような問いでした。
「利用者様が失敗しそうなとき、先に手を出すのか。それとも待つのか」
「よい支援者とは、気づける人なのか。待てる人なのか」
「本人の希望をできる限り叶えるのか。将来を考えて、あえて希望どおりにしないことも必要なのか」
いずれも、支援の現場で日常的に直面する問いです。
しかし、そこに一つの正解があるわけではありません。
今回の研修で重視されたのは、「どちらが正しいか」を決めることではなく、自分がなぜその支援を選ぶのかを考えることでした。
支援者の経験や常識だけで判断するのではなく、本人の生活歴、家族、仕事、住まい、経済状況、趣味、役割、これから送りたい人生まで含めて考える。
同じ病気や障がいがあっても、年齢や生活背景が違えば、必要な支援も目標も変わります。
支援の出発点は、病名や身体機能だけではありません。
その人が、これまでどのように生き、これからどのように生きたいのか。
そこに目を向けることの大切さを、改めて共有しました。


共生型サービスとは、制度を一緒にするだけではない
今回の研修を通じて、共生型サービスとは単なる制度上の仕組みではなく、一人ひとりの違いを地域の力へ変えていく取り組みであることを改めて学びました。
「自立」とは、何でも一人でできることなのか
共生型サービスとは、介護保険サービス事業所が障がい福祉サービスを、障がい福祉サービス事業所が介護保険サービスを提供しやすくするために設けられた仕組みです。
高齢者と障がいのある方が、年齢や制度の違いだけで支援を分断されることなく、住み慣れた地域で必要なサービスを利用し続けられることを目指しています。
しかし、同じ施設で異なる制度のサービスを提供するだけで、本当の「共生」が実現するわけではありません。
年齢、病気、障がい、生活背景の異なる人たちが同じ場所で出会い、お互いの経験や得意なことを生かしながら、それぞれの役割を持って過ごす。
支援する側と支援される側を固定せず、時には利用者様の存在や言葉によって、私たち支援者の考え方や地域の仕組みそのものが変わっていく。
研修の中で大きなテーマとなったのが、「自立」の捉え方です。
一般的に、自立という言葉からは「人に頼らず、自分のことを自分でする」という姿がイメージされやすいかもしれません。
しかし、身体に障がいがある方や、記憶・注意・感情のコントロールなどに困難を抱える高次脳機能障害のある方に対して、「何でも一人でできること」だけを求めると、かえって生活の選択肢を狭めてしまうことがあります。
必要な介助を受ける。福祉用具やスマートフォンを使う。家族や支援者、地域の人に助けを求める。
そうした力を借りながらも、本人が自分の生活のあり方を選び、自分の意思で人生をコントロールしていく。
それもまた、大切な自立のかたちです。
「介助を受けないこと」を目標にするのではなく、介助やテクノロジーを使うことで、行きたい場所へ行ける、会いたい人に会える、やりたいことに挑戦できる。
リハビリテーションの目的は、単に「歩けるようになる」「手が動くようになる」ことだけではありません。
その力を使って、どのような生活を取り戻したいのか。
私たち支援者には、機能の先にある生活まで一緒に考えることが求められています。
「スマートな仕組み」だけでは、生活は変わらない
支援では、アセスメントを行い、課題を整理し、支援計画を立て、サービスを提供して、経過を確認します。
これは欠かすことのできない「スマートな仕組み」です。
一方、実際の生活では、
- ゴミを出す日を忘れてしまう
- 冷蔵庫に同じ食品がいくつも並ぶ
- 薬を飲んだか分からなくなる
- 家族との関係が悪化し、サービスを拒否する
- 便利な道具を用意しても、本人が使いたがらない
といった、計画書だけでは捉えきれない出来事が起こります。
そのようなときに必要になるのが、“泥臭い支援”です。
本人と一緒に自宅でやってみる。うまくいかなければ方法を変える。スマートフォンの設定を一緒に調整する。家族や関係職種と何度も話し合う。拒否されたとしても、その背景にある思いを考え、次の接点を探す。
泥臭い支援とは、何でも代わりにやってあげることではありません。
本人の現実の生活に入り込み、一緒に悩み、一緒に動き、失敗もしながら、その人なりの生活のかたちをつくっていくことです。
支援計画に本人の生活を合わせるのではなく、本人の生活に支援を合わせていく。
研修で示されたこの考え方は、SHAREが大切にしてきた支援とも深く重なるものでした。
3つの部門が一緒に学んだことの意味
今回、スマリハ、チャレンジドジム、往診チームが一緒に研修を受けたことには、大きな意味があります。
スマリハでは、介護保険と障がい福祉の枠を越え、高齢者と障がいのある方が同じ場所で過ごしながら、地域で暮らし続けるための支援を行っています。
チャレンジドジムでは、退院後の身体機能や高次脳機能に対するリハビリだけでなく、外出、家事、公共交通機関の利用、復職、就労、社会参加など、その先の生活を見据えた自立訓練を行っています。
往診チームは、利用者様のご自宅へ伺うからこそ、施設内の評価だけでは分からない生活環境や、ご本人・ご家族の本当の困りごとに触れることができます。
それぞれの現場で見えるものは異なります。
だからこそ、一つの部門だけで支援を完結させるのではなく、それぞれが得た情報や専門性を持ち寄ることが重要です。
自宅で見つかった課題を通所で練習する。チャレンジドジムで獲得した力を地域生活で試す。スマリハでの関わりから次の社会参加へつなげる。
今回の研修は、SHAREの各事業が単に並んで存在するのではなく、一人の人生を支えるチームとしてつながるための共通言語を持つ機会になりました。
SHAREがこれから実践していくこと
今回の研修を、一度きりの学びで終わらせることはできません。
SHAREでは今後、身体機能やサービス利用状況だけでなく、「その人が地域でどのように暮らしたいのか」「どのような役割を持ちたいのか」を、支援の目標としてより明確にしていきます。
また、部門を越えた事例共有や相談の機会をつくり、自宅・通所・自立訓練・社会参加を分断せずに考えられる体制を強めていきます。
すべてを一人で解決できる支援者はいません。
理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護師、介護職、生活支援員、鍼灸師、柔道整復師など、それぞれの専門性と、利用者様・ご家族・地域の力を組み合わせる。
その積み重ねによって、制度や職種の枠だけでは実現できない生活支援が生まれると考えています。
その人の人生に必要な「次の支援」を
退院は、支援の終わりではありません。
身体機能が改善することも大切です。しかし、それだけでは生活は完成しません。
家に帰ること。もう一度買い物に行くこと。友人と会うこと。家族の中で役割を持つこと。働くこと。誰かに必要とされること。
その人が本当に取り戻したいものは、一人ひとり異なります。
SHAREが目指しているのは、自社のサービスだけですべてを完結させることではなく、本人が必要とする「次の支援」を一緒に考え、地域の中でつないでいくことです。
スマートな仕組みを整えながら、必要な場面では、どこまでも泥臭く人の生活に向き合う。
そして、「できないこと」だけを見るのではなく、その人の中にある強み、希望、役割、可能性を見つけていく。
今回の研修で得た学びを、スマリハ、チャレンジドジム、往診チームそれぞれの現場で実践し、SHARE全体の支援へとつなげていきます。

共生型サービスで大切なことは何ですか?
共生型サービスで大切なのは、高齢者と障がいのある方が同じ場所を利用することだけではありません。一人ひとりの生活歴、希望、得意なこと、必要な支援を理解し、年齢や制度で役割を固定せず、それぞれが地域の中で自分らしく暮らせる環境をつくることです。
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「病院で培った専門性を、地域で生かしたい」
「身体機能だけでなく、その人の生活全体に関わりたい」
「介護・障がい福祉・訪問支援を越えて学びたい」
そのような方は、転職を前提としない施設見学や情報交換からでもお気軽にご相談ください。
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